オリジナル脚本
- 雅之 三宅

- 4月10日
- 読了時間: 14分
更新日:6月22日
約15年前に描いたオリジナル脚本を掲載します。恥ずかしいけど・・・
読まれることも無いだろうし(笑)公開します!
地球のおへそ
平成22年3月17日#1瞳の実家(過去)
渋井瞳(大学一年生)(オフナレ)
私は2年浪人の末、やっと大学に合格。
合格した時、父親に言った。
瞳「受かったよ。○○大学に行きたい」
父親「…そうか、良かったな」
瞳(オフナレ)
私は特に、父親の前で嬉しい表情を見せはしなかった。
家族はいつもバラバラ…
父親の前では素直になれない。なりたくない。
でも感謝はしている。
「お父さん、ありがとうの一言が言えなかった」
私はいつも…
#2大学キャンパス(過去)
新入生で賑わうキャンパス、
ほとんど学生が数人のグループで行動を供にしていた。
瞳は学校には普通に通っているものの、
特別な友達もいない、サークルにも特に所属していない。
いつも一人でいた。
瞳「サークルでも入ろうかな」
瞳は、自分の居場所を探す様に、何かを求めて彷徨った。
部室棟に着き、徐に棟内を歩き回った。
掲示板には、新入生募集の張り紙がいくつも貼ってある。
テニス、ラクロス、イベント…
瞳はどれも自分に合う気がしなかった。
瞳は、その中に一枚だけ埋もれた張り紙を見つけた。
『オーストラリア大陸縦断・三千キロ』と
大きく一枚の紙に書いてあった。日付は去年のまま。
瞳はこのサークルの部室を訪ねた。
#3部室棟前(過去)
部室の前で自転車を組み立ている
柏木孝之(大学二年生)がいた。
瞳は思い切って話掛けてみた。
瞳「あの私自転車乗れないんですけど…」
柏木「…は?」
瞳「私、自転車乗れないんですけど、このサークルに入部できますか?」
柏木「はぁ。自転車乗れないの?」
瞳「はい。小さい頃に練習しなかったんです」
柏木「珍しいね。大学生になっても自転車乗れないなんて…」
瞳「でも、自転車乗れるようになったら、オーストラリアを旅できるんですよね?」
柏木「別に自転車じゃなくても、行けるけど」
瞳「いえ、自転車がいいんです。私恥ずかしいんです、この年で自転車に乗れないのが」
柏木「あぁ。いいと思う。大丈夫だよ」
そこに部長の吉崎麻子(大学三年生)が入って来た。
麻子「おはよう」
柏木「ちーす」
柏木「麻子さん、この子、入部希望ですって。自転車乗れないけど、いいですよね?」
瞳「お願いします」
麻子「…。 やだ。面倒くさい。テニスでもやってたら?」
柏木「うわっ、冷たい。別にいいじゃないですか、何でですか?
自転車なんてすぐに乗れるようになりますよ」
麻子「じゃあ、お前面倒見ろよ」
柏木は瞳を見る。
柏木「いいって」
瞳「ありがとうございます」
麻子「声が小さい!」
瞳「すみません」
麻子「イライラすんな」
柏木「暇の時、部室おいでよ。色々教えてあげるから。
とりあえず、次の合宿は夏休みだから、それまでに自転車と備品買い揃えてね」
麻子「じゃ、次の授業行くわ」
麻子は、部室を出た。
瞳「怖いですね」
柏木「最初だけ…実は優しいかもね。じゃあ、また明日部室おいで」
瞳は麻子と柏木がいなくなった後もしばらく部室に残り
壁に張ってある写真を見渡した。
自転車で旅をする学生たちのいくつもの写真が貼ってある。
瞳「いいな。楽しそう」
その時、瞳は一枚の写真に惹かれた。
その写真は、柏木がエアーズロックの頂上で大の字になって寝ている。
柏木とオーストラリの地平線が重なり合い、そのバックには地平線から
太陽が浮かび上がっている。
瞳「神秘的だな。よし!」
瞳は部室を出た。勢い良く閉まったドアには、
『パックスサイクリング』という看板が掛かっていた。
#4田舎道(現在)
麻子、柏木、瞳の順番で縦に並んで走っている。
ペース良く走っている様に見える。
しかし、一番ラストの瞳と、前の二人には距離があった…
瞳「ツライ…休みたいよ」
●自転車の車輪へズーム、地球へと乗り変わり、
一気にエアーズロックへ…
タイトル イン『地球のおへそ』
#5田舎道(現在)
瞳は懸命に走り続ける。
前の二人に追いていこうと 懸命に 走る。
瞳はもう足が動かない。一瞬目を瞑った瞬間、
前輪が縁石を乗り上げ、瞳はそのまんま横転した。
麻子と柏木は、瞳の所に駆け寄った。
柏木「ヒトミちゃん?」
麻子「気を付けなよ」
瞳「すみません。大丈夫です」
瞳は自ら起き上がり、座り込んだ。
腕と足に擦り傷ができ、肩を上げると痛みが走った。
柏木「麻子さん、少しここで休みましょう。もうすぐで坂道だし」
麻子「瞳走れないの?あまりここでゆっくりできないよ!」
麻子は少し苛立ちを見せた。
瞳は自転車を起こした。
瞳「行きますよ。行きます!」
瞳は、少しムッとした様子を見せた。
柏木「あれ、瞳ちゃんパンクしてるよ」
瞳「私、本当にだめだ。迷惑ばかりかけてる。もう嫌だ」
麻子は一瞬何か言いかけた。
それを遮るように、
柏木「大丈夫、俺得意だから、すぐ直るよ」
柏木は手際良くパンクを修理した。
瞳「すみません。ありがとうございます」
麻子「じゃあ、行こう。陽が暮れちゃうよ」
柏木「はいはい。瞳ちゃん行こう」
#4坂道(現在)
三人は急な坂道を登り始めた。
瞳にとってはかなり辛い坂道となった。
三人が走る対抗車線には、
バイクや同じ自転車で走る人とすれ違う。
互いに手を振り、讃え合う。
瞳にはそんな余裕もない。
柏木「瞳ちゃん、もう少しで頂上だよ」
麻子「気持ち良い、この景色。最高!」
瞳は、黙って付いて行くのが精一杯、
しゃべる余裕もなかった。
柏木「麻子さん、また少し休みませんか?」
麻子「また休憩?」
三人は一度止まった。
麻子「瞳、走れないの?」
瞳「すみません。遅くて…」
柏木「でも大分早くなってきたよ」
瞳「先に行ってもらってもいいですけど、私迷惑だし…
一人で 走った方が楽ですよ」
麻子「情けない」
瞳「麻子さんは、いいですよね。経験もあるし、楽しんで走っていられるじゃないですか。
私は全然楽しくありません」
瞳は怒りを露にした。
麻子「瞳、帰りなよ。このまま坂道下れば楽だよ。
近くに駅がある。そのまま帰りな。柏木行くよ。瞳は一人で走りたいんだって」
柏木「でも、僕たちが合わせてあげないといけないんじゃないですか?」
麻子「合わせてあげないと?偉そうに。いいから、行くよ」
瞳は下を向いたまま顔を上げなかった。
柏木は瞳を見た。
柏木「わかりました。行きましょうか」
麻子と柏木は瞳を置いて先に行ってしまった。
瞳は暫く、下を向いたまま動かなかった。
瞳は、走りながら部室での事を思い出した。
#5部室(過去)
瞳は、麻子と柏木からオーストラリアの旅の話を聞いた事があった。
瞳「この写真素敵ですね」
柏木「あそうなんだ。これね。去年の夏休みに行ったんだ。
麻子さんと。楽しかったなあ。色んな人と出会って」
麻子「オージは皆、大らかで、優しいんだよね」
柏木「途中で出会ったオージのお兄さんなんて、
日本のティーパック、緑茶の。
『これプレゼントだよ』って挙げたら喜んでさあ」
麻子「本当に嬉しいそうなんだよ」
柏木「それと、あの壮大な自然、カンガルーが俺たちの横を並走するんだよ。
あれは感動したな」
麻子「何よりも風が強くてね、キツかった。私と柏木が交互に先頭になって、
少しでも風をかわして走った。チームワーク」
柏木「あとは、星がキレイだった。隙間がないくらの星の数で感動的だったよ」
麻子「あれは…一日の疲れを癒してくれる。焚き火炊いてさ
ご飯も美味しいく感じるんだよね」
柏木「エアーズロック。知ってる? アポリジニー語でウルル。
世界で二番目に大きい一枚岩、地球の中心に位置する事から、
『地球のおへそ』と呼ばれているんだ」
柏木は、窓の遠くを見ながら言った。
瞳はそんな二人のテンポに良い思い出話のやりとりを聞き入っていた。
そんな二人の会話は永遠尽きる様子はなかった。
瞳「羨ましいです。いいですよね。共感できる人がいるっていうのは」
#6坂道(現在)
瞳は立上がり自転車を起こし、再び坂道を登り始めた。
ヒトミは自分に言い聞かせた。
瞳「絶対この坂道登りきる。歩いたりしない。
私をここまで引っ張って来てくれたのは、あの二人だよね。
瞳「バカだな私…私一人じゃここまで来れなかった。
麻子さんと柏木さんと一緒に走りたいな。
もう少しで、頂上だ。
私も目指すよ、エアーズロック。『地球のおへそ』へ」
#7多摩川の土手(過去)
自転車に乗れない瞳は、
麻子と柏木で自転車の訓練をしていた。
麻子「本当に乗れないんだ?自転車。へえ〜。天然記念物」
瞳「しょうがないじゃないですか。親は毎日毎日仕事で、遊んでくれた記憶がないんです。
皆は、普通お父さんに教わりますよね?
私そういう思い出がないんです」
柏木「じゃあ、三人で思い出作っちゃおう。瞳ちゃんが初めて自転車に乗れた日」
瞳「うわ、やばい」
瞳は、土手をそのまんま下りを突っ走って行った。
#8坂道の頂上(現在)
瞳は、懸命に自転車を漕ぎ頂上に辿り着いた。
そこには、 麻子と柏木が大の字になってアスファルトの上で寝そべっている。
柏木「瞳ちゃん、待ってたよ。ここ気持ち良いよ。休みなよ」
麻子「気持ちイイな〜。この景色と空気。あきらめたら、
もうそれでおしまい。その先に楽しみや感動はない」
瞳は、そのまま倒れ込むように横になった。
同じように仰向けになり、目の前に広がる空は青く気持ち良かった。
日陰で覆われたアスファルトは、冷たく感じ、風が気持ち良かった。
瞳「ごめんなさい。さっきは…」
麻子「さ、行こう。陽が暮れちゃう」
瞳「はい、行きます。行きましょう!」
柏木「…」
麻子「あんたは、仲間だよ」
瞳「え?」
#9田舎の商店(現在)
途中三人は小さな田舎の商店に立ち寄った。
ジュースを 買って飲んでいると…
お店のお婆ちゃんが話し掛けてきた。
お婆ちゃん「あんたらどこから来たんだい?」
柏木「東京ですよ」
お婆ちゃん「あらー東京からこの自転車で来たんかい。
ほれ、私んとこでお茶でも飲んでいきな」
瞳「え、いいんですか。甘えちゃって」
お婆ちゃん「いいよ。いいよ。休んでいきな」
麻子「いえ、大丈夫です。急ぎますから…」
柏木「ごめんね。お婆ちゃん。一度休むと動けなくなるからさ」
瞳「…」
お婆ちゃん「そうかい、ちょっと待ってな」
お婆ちゃんは、ジュースとお菓子を差し入れしてくた。
麻子「ありがとうございます。遠慮なく頂きます」
お婆ちゃんは瞳を見た。
お婆ちゃん「あんたは、このお二方に比べると弱そうやから、心配するよ。気をつけなね。
私の孫も、海外旅行ばっかり、心配でしょうがない…気を付けなね」
三人は、今夜の宿泊先キャンプ場を目指した。
そして、瞳は麻子、柏木よりさらに遠くを見て…
瞳「私、行ける、エアーズロックへ」
一気に気持ちが高まった。
#10キャンプ場入り口
麻子「到着。お疲れ」
瞳「やったー。ご飯楽しみだな」瞳は珍しく気持ちを露にした。
柏木「まだまだこれから、テントの組み立てや夕飯の準備あるからね」
柏木は、自転車のメータを見た。
柏木「今日は走行距離八十七キロか、瞳ちゃん、お尻痛いでしょう?」
瞳「はい。ちょっとやばいかも…です」
麻子「慣れるよ。その内皮が厚くなるから」
瞳「…」
#11キャンプ場受付
三人は受付の前に横一列に並んだ。
柏木「予約した柏木です」
おじさん「自転車か?東京から?若いなー。しかしあんたら臭いなー」
柏木「青春の汗ですよ。スポーツの汗!」
瞳「臭くありません!これが本当の人間臭さ、シズルです」
麻子は瞳の反応に少し笑った。
おじさん「はは、お姉ちゃん元気良いなぁ。
うちの温泉は良いでぇ。入っていきな」
麻子「あざーす」
#12テントエリア(現在)
麻子と柏木は手際良くテントを張る。
瞳は、未だ覚束ない様子で二人の手伝いをする。
麻子とヒトミは同じテント。
柏木は自分専用の一人テント。
柏木「たまには三人で寝ませんか?」
麻子「いやだ」
瞳「いいですよ私は…柏木さんなら安心だし」
麻子「あほか」
柏木「オーストラリアの時もそう、一ヶ月も一緒にいるのに、全くでしたよね…
麻子さんともこれが最後の合宿なのに…」
瞳「えー、最後くらい仲良く寝ましょうよ」
麻子「ヒツコイ!はい、ご飯の準備、瞳お米係り。
柏木は野菜切って。私、先にお風呂入るよ」
#13炊事場
柏木と瞳二人は夕飯の準備をしている。
柏木「瞳ちゃん、本当に一人でオーストラリア行くの?」
瞳「何でですか?」
柏木「女の子一人じゃ、不安じゃない?親も心配するでしょう。許してくれるの?」
瞳「あー、関係ないです。親は…好きじゃないんです。親の話しはしないで下さい。
親もきっと興味が無いんだと思います」
柏木「そんな事ない。心配しない親なんていないよ」
瞳「私の家は違うんです」
柏木「…」
瞳「あ、すみません」
#14テントエリア(現在)
麻子は、ビールを飲みながら火の準備をしている。
麻子「お帰り。このあゆ、受付のおじさんがくれたよ」
柏木「いいねー。これだかたらキャンプは止められない」
瞳は、鍋に入った米を火の上にのせた。
瞳「上手く炊けますように。焦げませんように」
柏木「そろそろ白いご飯できたかな」
瞳「いきまーす。ほら」
麻子「うわ、ばっちりじゃん。真っ白だよ」
柏木「うまそー」
三人「いただきまーす」
#15テント前(時間経過)
三人は、夕飯が終わり火の前でビールを飲みながら話しをしている。
瞳「二人仲良いですね?」
柏木「最初はケンカばかりだったよ。麻子さん覚えてますか?千葉の合宿で大げんか…」
麻子「最悪…」
#16千葉の道(過去)
麻子と柏木、その他部員が三人で走っている。
リーダーとして、麻子は懸命に先頭を走り、
チームを引っ 張った。しかし、それでも他の部員は
先頭に立つ麻子のスピードが遅すぎると思っていた。
部員「すいません。麻子さん先行きます」
部員三人は一気に追い抜き先へ走って行った。
後から、追いついた麻子と柏木。
麻子は怒った。
麻子「あんたたちふざけんな。合宿の意味ないでしょう。
勝ってに走りたければ、一人で走れ!」
部員「麻子さんが遅いんですよ。合わせてられねーよ。何が団体行動だ。古くせっ」
部員「行こーぜ。俺たちだけで…柏木はどうする?」
柏木「お前たち少し勝手すぎるだろうが。みんなで走ろうぜ。
それぞれペースってもんがあるんだ。
合わせる事も大切じゃないのかよ。
それにスピードだけじゃない。楽しむ事も大切だろ」
部員「かったるい事ばかり言ってんなよ」
麻子「ごめん、私、着いて行くから、先走っていいよ」
部員「分かりました。追いて来て下さい」
麻子は、途中追いて行く事ができなかった。
目的地へは大分遅れて着いた。
麻子は、何も言う事ができない。
他の部員は、麻子の言う事は聞こうとしなかった。
#17テント前(現在)
柏木「あの夜テントの中でずっと泣いてたもんな 麻子さん」
麻子「あれ以来この部は二人だけ…」
瞳「あっ、柏木さんごめんね。私遅いから。イライラするでしょう?」
柏木「そんな事ないよ。ちょうど良い。瞳ちゃんのペースだと景色も良く見えるし。
麻子さんのカワイイお尻見ながら走るのも悪くない」
麻子「ただの自転車好きの女好きだろ」
瞳「オーストラリアでもずっと二人だったんですよね」
麻子「早く風呂は入っておいでよ」
瞳「いえ、今日は入りません。この汗臭いままでいます。好きなんです。この臭いが」
柏木「風呂入りまーす」
#18テントの中1
瞳「麻子さんまだ起きてますか?」
麻子「何?」
瞳「麻子さんは、自分の事好きですか?」
麻子「…」
瞳「私は自分が嫌いです。親とも上手くいってないし、
親友と呼べる友達もいない。自分に自信無いし…
二年も掛けて大学入ったのに、つまらくて、辞めようと思ってたんです。
でも、そんな時、このサイクリング部の存在知って、
麻子さんや柏木さんと出会えした」
麻子「…」
瞳「目標もできました。エアーズロック行きます。地球のおへそ目指して。
手紙書きますね。写真も送ります。エアーズロックから」
麻子「瞳、さっき臭いって言ったよね。空港にはその国独特の臭いがある。
モロッコ、モスクワ、スペイン、 オーストラリア。
それぞれの臭いがあるんだ。空港にはドラマある。
私好きなんだ空港の臭いが…
お父さんに電話してあげなよ。頂上からおへその上から」
瞳「はい。そうします。たぶん」
#19テントの中2
柏木は自分のテントからその会話を聞いていた。
#20翌朝・キャンプ場
三人は、出発の準備を終えて最終目的地へ向かった。
麻子「ラストラン。行こう、目的地へ」
#21田舎の駅前
麻子、柏木、瞳の三人は並んで最終目的地の
駅に着いた。
麻子「お疲れ〜」
柏木「お疲れ様です」
瞳「ありがとうございました」
三人はそれぞれ握手をし、
記念撮影をして合宿を終えた。
●一年後
#22空港1
輪公バックを荷台へのせる瞳。
麻子と柏木は、オーストラリアへ旅立つ
瞳を見送りに来た。
麻子「瞳、気をつけて…これ、私の友達の連絡先。何か困ったことあったら電話してみて。
きっと協力してくれるから」
柏木「瞳ちゃん、大丈夫?気を付けて」
瞳「本当にありがとうございます。生きて帰ってきます。そこまで大げさじゃなし」
柏木「大丈夫だよ。日本人たくさんいるから」
麻子「じゃ!」
柏木「アデレードからエアーズロックまで約三千キロ。
きっと楽しい旅になるよ。がんばって」
#23空港2
麻子と柏木と別れた瞳は、時計を見た。
出発予定時刻までまだ時間がある。
瞳は、一瞬一人でいる事に不安と恐怖を憶え、
瞳は孤独に感じた。父親に電話しようか悩んだ。
(オフナレ)
お父さん、怖いよ、私すごく不安なんだ。
一人でオーストラリア行けるかな…
#24瞳の実家・外観
瞳の父親の携帯電話が鳴る。
#25瞳の実家・リビング
父親「もしもし…」
瞳「お父さん?私、瞳。エアーズロック着いたよ。
ごめんね。心配したよね?」
父親「…」
瞳「ありがとう、お父さん。
今までちゃんと話して上げられなくてごめんね」
父親「疲れたろ?ゆっくり休みなさい。実家で待ってるからな。 早く帰ってき来なさい」
了 三宅雅之 作



