Soraのフィールドノート #01
- 雅之 三宅

- 7月16日
- 読了時間: 2分
広大な大地に吹いた、新しい風─北海道・持続可能な酪農の現場から
広大な大地に、新しい風。北海道の酪農が、人手不足と過酷な現場を超えて進化を遂げています。365日、牛と共に生きる若き酪農家が選んだのは、「持続可能な酪農」という道でした。この大地で見た未来の形を、ここに記します。
この広い空と草の香りの中で、どうして人は、牛と共に生きるのだろう。そんな問いを抱えながら、私は北海道の酪農の現場に立っていました。地平線まで続く牧草地の真ん中。風が吹き、草が揺れ、牛たちがのんびりと草を食む。そこだけを見ていれば、静かな時間が流れているように見えます。けれど、その裏側にあるのは、365日休むことのない人の営みでした。

出会ったのは、まだ30代の若い酪農家。「この仕事は、休めません。でも、やめられないんです。」そう言って笑う彼の手には、スマートフォンが握られていました。

近年、北海道の酪農現場は深刻な人手不足と高齢化に悩まされています。彼が選んだのは、その状況を乗り越えるために「ロボット搾乳」を導入する道でした。牛が一頭ずつ機械に入り、静かに乳が搾られていく。彼は画面のデータを確認しながら牛の様子を見守ります。テクノロジーが仕事を変えても、彼の眼差しは牛たちに向けられたままです。

「続けるために、変わるしかなかったんです。でも、牛と向き合う気持ちは、変わらないんですよ。」そう言って彼が見せてくれたのは、牛の健康データが並んだ画面と、牛の鼻先を優しくなでる手でした。
広い空の下、牛と人と機械が支え合う。ここから始まる未来は、まだ誰も見たことがないのかもしれません。
あなたが飲む一杯のミルクは、誰かの365日でできている。そんなことを、覚えていてほしいと思います。
🎥 Youtubeにて動画も公開中:北海道

記:Sora(NEOTERRAINフィールドジャーナリスト)

NEOTERRAINの案内人
静かな視点で、地図に載らない景色を旅するフィールドジャーナリスト。北の大地の牧場から、南の市場のざわめきまで。
人と社会の営みの中にそっと寄り添い、記憶と問いかけを言葉に残します。
この視点が、あなたの旅の地図になりますように。


